JSCAST
鋳造湯の流れ・鋳物凝固プロセスの三次元CAE解析ソフトウェア
JSCAST 製品概要
JSCASTとは、砂型鋳造をはじめ、重力鋳造・精密鋳造・圧力鋳造・消失模型鋳造・ダイカスト・繰返し鋳造など各種メタル鋳造プロセスにおいて、溶けた金属の湯流れ、および凝固プロセスをパソコン上で3次元シミュレーションをして、欠陥対策を検討したり、鋳造方案を考案したりするソフトウェアです。JSCASTを用い、シミュレーションを通して、いろいろ鋳造条件を変更し、鋳型設計、鋳造プロセス計画、注湯口・押湯の設計、凝固時間、凝固速度、冷却配管・冷金の設計、引け巣・ボロシティの評価、欠陥対策などができ、鋳造プロセス・生産率の改良に大きく寄与できます。
JSCASTの前身はクオリカ(株)(当時、小松ソフトウェア開発(株))が (株)小松製作所と共同開発したSOLIDIAであり、1986年より販売を開始しました。現在のJSCASTは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託により平成11年度から平成14年度の4ヶ年計画プロジェクトで開発され、アイ・イー・ソリューション社、multi-Flow SOFTWARE社との共同研究により開発しています。また、この研究・開発においては、大阪大学における30年以上の研究・開発結果とSOLDIAの開発以来培ってきた技術を基に様々な提案・改善を行っております。
JSCASTは、プリ・ポスト一体型で、鋳造の形状を作成できますが、Stl書式のCADデータがあれば、どんな複雑な形状でも、スムーズに解析モデルの作成ができます。また、鋳造関連の材料物性値の計算プログラムとの提携があり,材料物性値の登録機能があり、3次元CAE鋳造の最強な解析ツールです。
JSCAST 製品詳細
JSCASTは、鋳造プロセスにおいて、溶けた高温金属の熱・液体の流れ解析、注湯後の凝固解析及び熱変形解析を行うプリ・ポスト一体形の鋳造ソリューションです。JSCASTは鋳造専門家により開発され、下図に示す手順で簡単に鋳造プロセスをシミュレーションできます。
プリ・ポスト
JSCASTは、差分法の計算手法を用いて、溶けた液体金属が鋳物内部を流れる様子、及び鋳物の凝固過程を解析します。そのため、JSCASTのプリ・ポストの環境で鋳型、鋳物、注湯口、湯道,押し湯などの形状を作成し、立方体メッシュで分割し、材料物性値、境界条件、初期条件の設定など一連の作業を通して,簡単な操作で解析モデルを作成して,鋳造プロセスをシミュレーションします。JSCASTでは、幾何形状を作成できますが、stlのCADデータから形状をインポートできます。
ポスト プロセッサは、解析結果の表示、欠陥評価にも利用します。
熱・液体の流れ解析
高温金属の熱・液体の流れ解析では、コンピューターを利用して、液体金属の流れ方を計算することによって、鋳造欠陥を予測します。JSCASTは、液体金属の流れを計算する際に、鋳造圧力、鋳湯温度、背圧、重力、砂型通気性、ガス抜き、消失模型、押し湯、堰流動、冷却水管、冷金、表面張力などの条件を設定し、注湯プロセスにおいて、充填状態、充填時間、個別充填率、充填速度・温度・圧力変化、鋳物・鋳型の温度分布などを求め、湯回り不良、湯じわ、ブローホール、湯境、ポロシティ、酸化皮膜・ガス巻込みといった各種欠陥を予測したり、欠陥対策を検討したりして、鋳造方案を考案します。
凝固解析
鋳物の凝固解析では、溶けた液体金属を鋳型に注入してから固まるまでの過程をシミュレーションし、凝固の温度分布、固相率分布、固相率変化曲線、凝固過程、引け巣の定量計算などを行うことによって、指向性凝固、冷金、引け巣、ポロシティ対策を検討することができます。JSCASTでは、長年の研究経験より材料別で引け巣を計算することがあります。例え,アルミに対し,固相率ループによる簡易法、初期濃度や液相線、圧力分布を考慮した凝固収束圧力法があります。また、球状黒鉛鋳鉄に対し,臨界応力、共晶温度などの指定で引け巣を計算します。特に専門知識がないユーザにも対応できます。
変形解析・変形解析インターフェイス
JSCASTの鋳物の変形解析では、凝固解析の温度データを用いて、熱荷重、もしくは、二つの温度分布データの温度差を定義して、熱変形を計算します。または、鋳物の温度分布を汎用有限要素プログラムNX Nastranに出力して,NX Nastranで熱変形、熱応力を解析し、冷却速度、引き割れ,熱変形などを予測します。JSCASTはNX Nastranに鋳物の温度分布を出力するインターフェイスがあります。
JSCASTの適用範囲
材質・材料
鋳鋼、ねずみ鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、ステンレス鋼、アルミ合金、銅合金、マグネシウム合金、各種純金属など
鋳型・金型
生砂型、CO2型、シェル型、金型、セラミックス型など
鋳造プロセス
砂型鋳造、シェルモールド、金型鋳造、ダイカスト鋳造、精密鋳造、傾斜鋳造、減圧(真空)鋳造、チクソキャスト、消失模型鋳造など
JSCAST 製品構成
JSCASTは以下に示す基本機能といくつかのオプション機能から構成できます。
モジュール | 機能 | 対応モジュール |
---|---|---|
基本モジュール | 物性値の登録材料数:200種類 | プリ・ポスト |
うち、人工砂の登録数:20種類 | プリ・ポスト | |
1解析に使用可能な材料数:100種類 | プリ・ポスト | |
STLデータのインポート | プリ・ポスト | |
形状作成(角柱、円柱など) | プリ・ポスト | |
メッシュ作成(自動/手動、等間隔/不等間隔) | プリ・ポスト | |
重量、体積、表面積、モジュラス計算 | プリ・ポスト | |
指定位置でのゲート速度の切替え | 湯流れ | |
複数の湯口からの個別注湯設定 | 湯流れ | |
注湯の停止・再開機能 | 湯流れ | |
指定した固相率による流動停止 | 湯流れ | |
材料物性値の温度依存性(非線形) | 湯流れ・凝固 | |
重力方向指定機能 | 湯流れ | |
複数CPU対応(高速並列計算) | 湯流れ・凝固 | |
直交差分モデルによる解析 | 湯流れ・凝固 | |
ユーザ定義マーカ | 湯流れ | |
フィルタ(ストレーナ)考慮解析 | 湯流れ | |
複数個取り方案の個別充填率グラフ作成 | 湯流れ | |
流れの流跡表示 | 湯流れ | |
堰の流量解析 | 湯流れ | |
解析結果断面表示(スキャン動画出力対応) | 湯流れ・凝固 | |
解析結果任意断面表示(斜めカット面含む) | 湯流れ・凝固 | |
金型・砂型・中子の焼付き予測 | 凝固 | |
指定位置での温度変化のグラフ表示 | 湯流れ・凝固 | |
オプション | 押湯・引け巣の定量的予測 | 凝固 |
傾斜鋳造の流れ解析 | 湯流れ | |
繰返し鋳造、複数ショットでの金型温度予測 | 凝固 | |
混合要素 | 湯流れ・凝固 | |
金型背圧考慮 | 湯流れ | |
砂型通気性考慮 | 湯流れ | |
球状黒鉛鋳鉄(FCD応力法)ポロシティ予測 | 凝固 | |
ポロシティ (酸化皮膜の挙動を考慮した欠陥) 予測 | 湯流れ・凝固 | |
熱変形予測Nastranのインターフェイス | プリ・ポスト | |
JSCAST鋳造熱変形解析 | プリ・ポスト | |
スリーブ内流動解析 | 湯流れ | |
表面張力考慮 | 湯流れ | |
消失模型解析 | 湯流れ | |
のろ・砂かみ予測 | 湯流れ | |
JMAT Pro | 凝固物性値計算プロフラム(他社ソフト、材料タイプ1種特定、年間レンタル) |
JSCASTの計算オプションと適用範囲
項目 | 鋳鉄・鋳鋼・銅・アルミユーザ | 球状黒鉛ユーザ | ダイカストユーザ | 金型・精密ユーザ |
---|---|---|---|---|
1.押湯引け巣欠陥(定量的予測) | ○ | ○ | ○ | |
2.傾斜鋳造 | ○ | |||
3.繰返し条件 | ○ | |||
4.混合要素 | ○ | ○ | ○ | ○ |
5.金型背圧・砂型通気性考慮 | ○ | ○ | ○ | ○ |
6.ポロシティ(FCD応力法) | ○ | |||
7.ポロシティ | ○ | ○ | ○ | ○ |
8.鋳造変形 | ○ | ○ | ○ | ○ |
9.熱変形インターフェイス | ○ | ○ | ○ | ○ |
10.スリーブ内流動 | ○ | |||
11.表面張力考慮 | ○ | ○ | ○ | ○ |
12.のろ・砂かみ | ○ | ○ | ||
13.凝固物性計算モジュール | ○ | ○ | ○ | ○ |
14.消失模型 | ○ | ○ |
JSCAST 動作環境
JSCASTは、プリ・ポスト・ソルバー一体型で、Windows上で稼働します。
以下の環境で動作します:
OS | Windows (32bit/64bit) 8、8.1、10 |
---|---|
CPU | Intel x86互換64bit (Intel、AMD) |
メモリ | 推奨16GB以上 |
グラフィック | nVidia Quadroシリーズ |
対応言語 | 日本語,中国語,英語 |
以上、商品名は各社の商標、または登録商標です。
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