Simcenter FloEFD for Solid Edge
設計者向け熱流体解析ツール
FloEFD 製品概要
FloEFD for SolidEdge(フローイーエフディーフォーソリッドエッジ)は、『速い』・『簡単』と『高精度』を両立させた、Solid Edge(3DCAD)上で動くアドオン流体解析アプリケーションです。
メリット1:モデル作成が簡単・早い
FloEFDは設計者がCADと同時実行でCFDを実施することを念頭に、高度な知識と経験・マシンスペックを要求しないことにフォーカスしたCAD統合型熱流体解析(CFD)ツールです。『早い』『簡単』と『高精度』の両立を特長とするFloEFDは設計者がCAD上で簡単に、かつ、短時間で精度の高いCFDを行うために最適のツールです。
なぜ簡単?なぜ早い?
モデル作成で一番工数・時間のかかる操作は、メッシュ作成です。メッシュを単純化することで、工数さらには計算コストを削減することができます。
FloEFDでは固体・流体の領域から独立したボクセルメッシュを採用しています。これによりハイエンドCFDでは数日の作業を要するメッシュ生成が数分で完了します。また、必要に応じたメッシュの細分化条件を与えてオートでメッシュを作成することができます。
FloEFDは、設計者が手馴れたCADの画面上でCADと同じように操作することが出来ます。新しく操作を覚える必要はありません。
解析の基本的な条件設定は設定手順がウィザードとして定型化されており、操作に迷うことがありません。だから簡単、早いのです。
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ハイエンドCFDのメッシュ
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FloEFDのボクセルメッシュ
メリット2:計算時間の短さと計算精度の両立
計算時間はなぜ短くできる?
FloEFDのメッシュでは、流体領域の形状データ作成をする必要がありません。この作業はハイエンドCFDツールでの解析準備作業では多大な工数を要します。したがってFloEFDでは総メッシュ数が少なくなり、計算時間が短縮されます。解析の所要時間が大幅削減となり、計算のために費やしていた時間を、結果検討のために使うことが出来ます。また、数百回の計算を繰り返す、形状をパラメータとした流体特性のパラメータ最適化も現実的に実施可能になるのです。
精度は大丈夫?
単純化したメッシュでは温度や圧力などの“境界層”を算出するために不十分な場合があります。
FloEFDでは特にメッシュが不十分となる、境界層が薄い場合に実測に基づく係数を用いて計算を補正しています。これにより単純化したメッシュでも高い計算精度を確保しています。
狭流路での流れ計算についても境界層の計算と同様です。流路が狭く、 算出のためにメッシュが不十分となる場合、実測に基づいたナビエ・ストークスの式の置き換えを行って流れを計算します。
メリット3:Simcenter Nastranとの連携ができる
FloEFDで実施した熱流体解析の結果は、Nastranファイルとして出力できますので、流体解析や熱流体解析と構造解析の練成ができます。
1. CPUクーラー周辺の流れと温度分布、ヒートシンク・フィンの熱変形及び応力分布
2.球型タンクの流体-構造解析
補足情報
固体・流体の領域から独立したボクセルメッシュとは?
・ボクセルメッシュとは
- 下図のように、全体座標系の軸に直角な境界を持つ、六面体もしくは四辺形のポリゴンメッシュです。
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配管内に液体が、配管外に気体が流れるモデル_3Dボクセルメッシュの断面表示
・固体・流体の領域から独立したボクセルメッシュとは
- 固体領域と流体領域の境界をよく見ると、双方の領域にまたがっているセルがあります。これが“固体と流体の領域から独立したボクセルメッシュ”です。
FloEFDでは、『個体セル』、『流体セル』、『個体/流体セル』の3種類に分けて認識されます。メッシュが固体と流体の境界面と交差した場合、『個体/流体セル』と認識され、境界はメッシュ内部で自動認識されます。
設定手順がウィザードとして定型化
FloEFDの流れ解析プロジェクト作成ウィザードでは、単位系、流体解析や熱解析などの解析の種類とそれに必要な初期条件の設定、解析で主に使用する材料(固体・流体)などをまとめて設定することができます。
ですので、解析専任者でなくとも解析に必要な条件を簡単に設定することが可能です。
流体領域の形状データ
・流体領域の形状データ作成とは?
流体が流れる領域は、基本的に固体が存在しない領域です。しかし、流体の流動を計算するためには、「ここの空間に流体が流れますよ」という流体領域のメッシュを切ってあげる必要があります。
ハイエンドCFDでは、この流体領域のメッシュを作成するために、流体領域のジオメトリデータ(形状データ)を作成する必要があります。
一方、FloCFDでは、流体領域のジオメトリデータがなくても、「ここの空間に流体が流れますよ」という指定ができますので、流体領域のメッシュを切ることができます。
境界層
・境界層とは?
物体の周りを粘性のある流体が流れると、粘性の働きによって物体の表面付近に速度が遅い領域が形成されます。この領域を境界層といいます。
境界層の外側の領域を主流といいます。
FloEFD 製品詳細
FLOEFDは汎用のCFDツールです。航空宇宙・自動車・電機電子・工業・家電・建築・・・等業界を問わずご利用いただけます。基本のパッケージに次のような解析機能が含まれます。
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- 外部および内部流体流れ
- 定常および時間依存流体流れ
- 圧縮性気体および非圧縮性流体流れ
- 亜音速、遷音速、超音速の気体流れ
- 自由、強制および混合対流
- 壁面ラフネス効果を含む、境界層流れ
- 層流および乱流
- 複数流体、複合固体の解析
- 移動 / 回転部品の流れ
- 流体、固体、ポーラスメディアの熱伝導・熱抵抗
- 不透明な固体間のふく射
- 非ニュートン液体流れ
- 圧縮性液体流れ
- 実在気体
- 非圧縮水流のキャビテーション
- 蒸気から水への平衡体積凝結
- 気体と混合気体の相対湿度
- 二相(流体 + 粒子)流れ
- 自由表面
- 周期境界条件
FloEFD追加オプション機能概要
Electronics Cooling SE
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(1)ジュール発熱
導電性固体の定常状態の直流電流を計算できます。
(2)コンパクトモデル
電子機器のシミュレーションを容易にするために、次の“コンパクト”なモデルが用意されている。
- Joint Electron Device Engineering Council(JEDEC)規格に基づいたテストベースの2抵抗コンパクトモデル
- 標準 JEDEC パッケージ アウトラインの 2 抵抗モデルの組み込みライブラリ
- ヒートパイプコンパクトモデル
- PCB ジェネレーターを含むプリント回路基板 (PCB) モデル
(3)PCB(プリント基板)ジェネレーター
二軸熱伝導率の値を取得するために、以下の機能も利用できます。
- PCB 構造と特定の導体および誘電体材料の特性から自動的に導き出される法線 (面内) および面内熱伝導率
- ボードは、グローバル座標系に対して任意に方向付けすることもできます。たとえば、角度の付いたPCBをモデル化することができます。
(4)マテリアル ライブラリの追加
基本的な材料データに加えて、以下のデータもこのモジュールに含まれています。
- 合金、セラミック、金属、ポリマー、ラミネート、ガラス、鉱物、半導体などの固体材料のデータベース
- 集積回路 (IC) パッケージのデータベース
- 単段および多段の熱電冷却器 (TEC) のデータベース
- 界面材料データベース(接触熱抵抗)
- 2抵抗コンポーネントのデータベース
HVAC SE
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(1)寒さ・暑さなどの快適性評価指標
PMV(予測平均温冷感申告)、PPD(予測不満足者率)
(2)流れ・換気システムなどの性能評価指標
CRE(汚染物質除去の有効性)、LAQI(局所大気質指数)
LED and Lighting Module SE
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(1)ジャンクション温度(※1)の計算
(2)放射光束(※2)の予測
CRE(汚染物質除去の有効性)、LAQI(局所大気質指数)
(3)モンテカルロ法輻射モデルの使用。
モンテカルロ法:波長依存の吸収率、透過率、屈折率を考慮できる輻射モデル。
※1: LEDに電流が流れると多くは光に変換されるが、一部は熱に変換され、接合部の温度が上昇する。この温度をジャンクション温度という。
※2:単位面積当たりの放射量を放射束、そのうち可視の波長(光)を放射光束という。
adv CFD Module
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(1)燃焼(気相混合物の燃焼の熱効果)
(2)極超音速解析
極超音速関数により、FloEFD は対応する効果を考慮して極超音速領域での空気の流れをシミュレートできます。
- マッハ数5
- 高温空気解離とイオン化
- 薄い衝撃層と粘性相互作用
- マッハ数5
EDA Bridge SE
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(1)PCB (プリント基板) モデリング レベル
PCB は、熱シミュレーションに必要な粒度に応じて、3つの詳細レベルのいずれかでモデル化できます。
- ①コンパクト –
- ②2.詳細 –
- ③マテリアル マップ (スマート PCB) –
(2)詳細な銅線モデリング
CCE、ODB++、またはIPC2581B(※6)を使用する場合、ネットリストはSimcenter FLOEFD EDA Bridgeによっても読み取られ、PCBツリーから選択できます。以下の いずれか2つの方法で作成できます。
- ①特定のネットを明示的に選択してモデル化
- ②ICの周囲に熱領域を作成
(3)ICモデリング
ICは熱的に3つの方法で表すことができます。
- ①シンプルモデル
コンポーネントのブロック表現を使用します。
サイズは、マテリアル プロパティが定義されたアセンブリまたは配置のアウトラインに基づいています。 - ②2 抵抗モデル
Joint Electron Device Engineering Council (JEDEC)を使用します。
- ③DELPHI マルチ抵抗器モデル
ノードを追加して高度な熱抵抗ネットワークを作成できます。
EC Center SE
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Electronics CoolingとEDA BridgeとT3STER Automatic CalibrationとBCI-ROM and Package Creatorのセットオプションです。
BCI ROM + Package Creator SE
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次数削減モデルを出力できます。これを別のソフトウェア(例えばMATLAB等)に持って行って解析させることができます。
これによって、過渡解析を高速で解析させることも可能です(1/4万の時間で解析した例もある)。
FloEFD 動作環境
対応OS | Windows 7 以上の64bit Windows11も確認済み |
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CPU | 64bit CPU クロック:2~3GHz程度 |
メモリ | 8GB 以上 |
ハードディスク | 1GB 以上の空き容量(インストール用) |
前提CAD | Solid Edge ST10以降 |
FloEFD for SolidEdge 製品構成
FloEFD for SolidEdgeは、CADソフトSolidEdgeにアドオンして使用します。
標準パッケージ
製品 (ダウンロード) |
・ソフトウェア ・オンラインドキュメント (新機能、ユーザーガイド、テクニカルリファレンス、チュートリアルなど) ・チュートリアルのサンプルデータ |
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保守サービス
◇バージョンアップ
保守契約期間内にリリースされる新バージョンをお届けいたします。
◇技術サポート
メール/FaxによるFloEFD for SolidEdgeのQ&Aを行っております。(原則として電話によるサポートはしておりません。)
FloEFD for SolidEdgeに関する操作方法などについてご質問に回答いたします。
保守契約期間中は、回数制限はありません。
※以下に関するご質問、ご依頼は標準サポートの対象外となります。ご了承ください。
・ モデル作成の代行に該当する質問
・ 受託解析に該当する質問
クラウドサービス(XaaSサブスクリプション契約のみ)
・SiemensのクラウドサービスXcelerator Shareの利用
・500GB+5GB×ライセンス数 のクラウドストレージ
例)10ライセンス 500GB+5GB×10=550GB
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