磁石内蔵型同期モータ(IPMSM)のエアギャップ磁束密度解析

事例概要

モータ特性を設計する上で、生成磁束による電磁鋼板の透磁量を電磁界シミュレーションにより数値的に把握することは必要となる。過渡な生成磁束量は電磁鋼板上で磁束飽和により鉄損(渦電流損、ヒステリシス損)を誘起し、ステータやロータの発熱量増大につながる。このため、ステータやロータの形状・寸法のジオメトリーを決定する上で、それら部品が対向(ラジアル方向)するエアギャップに於ける磁束密度量の把握が重要となるため、当該箇所の磁束密度解析事例を紹介する。

  • 解析条件)

    解析モード:過渡応答解析(Transient)
    モータ仕様:3相/8極/48スロット、分布巻巻線
    駆動条件:無負荷/3,000min-1
    右図45°位置で1/8部位(2D)で解析を実行
    ステータとロータ間エアギャップ(空気層)は4層(レイヤー)に分割処理
  • Fig1

解析結果)

界磁状態に於けるステータとロータの電磁鋼板上に生成され透磁する磁束密度の変位は左図(アニメーション)となり、規定のロータ位置でのステータ及びロータの各部位上に於ける磁束密度値を右図に示す。ステータとロータ間エアギャップを透磁する磁束密度は回転ロータのステータコイル励磁タイミングへの相対位置で変化するため、動的挙動での解析は有効手段と考えられる。

  • Fig2

  • Fig3

下図にステータとロータ間エアギャップを透磁する磁束密度の解析結果を示す。
エアギャップ磁束密度は0.9~1.0(T)を設計目標値とすることが推奨されており、波形は過渡な突起形状とならないことがロータの回転振動低減の観点より望ましい。
磁束密度波形の中央3山(大)は、ロータ内蔵磁石の生成磁束が対向するステータスロットティース中央部3本(下図内)へ透磁しており、磁束密度波形左右2山(小)はステータスロットティース中央部3本の左右それぞれ1本への磁束透磁の結果となる。エアギャップ間での磁束密度波形はステータコイル線間での逆起電圧波形に影響を与えることより、本解析の様な、有限要素法による磁束密度解析はモータ性能をシミュレートする上で有効な手段と考えられる。

Fig4

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