磁石内蔵型同期モータ(IPMSM)の磁石減磁解析
事例概要
電気自動車(EV)のパワートレインの動力ユニットに磁石内蔵型同期モータが高周波インバータにより駆動されている中で、磁石の磁気特性は温度依存性の非線形B-H曲線に沿った特性を有しているが、モータ駆動状態で磁石に対しての周囲温度や外部から受ける磁力が許容値を超える場合(電気的短絡発生)、磁石が減磁するために外部要因による減磁状態を解析にて予測する。
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解析条件)
解析モード:過渡応答解析(Transient)
モータ仕様:3相/8極/48スロット、分布巻巻線
駆動条件: 3,000min-1
磁石周囲温度:125℃
電気的短絡発生箇所:ステータ巻線間
磁石材質:Nd-Fe-B系
右図45°位置で1/8部位(2D)で解析を実行 -
Fig1
解析結果)
ステータ巻線間での電気的短絡(ショートサーキット)は下図①の時点で発生し、発生後5ms後の状態が⑥となる。
短絡発生後3ms後(下図④位置)に磁石両端位置に大きく減磁(磁石<青色>上の赤色部)が発生している結果となった。減磁発生部位はロータコア上で磁束透磁密度が高い(磁束飽和)箇所の部位で発生しており、さらに周囲温度125℃もNd-Fe-B系磁石の保磁力低下に影響を及ぼしている。
Fig2
磁石の減磁に因りモータ逆起電圧への影響が発生する。下図に電気的短絡発生前後の逆起電圧値の変化を示す。
Fig3
減磁磁石の磁力は不可逆性のため、逆起電圧は短絡発生前値には復元出来ない。このため、磁石減磁後のモータ特性は劣化(トルク、出力)し、作動効率も低下するため、発熱増加による更なる減磁の発生が誘発される可能性が考えられる。
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